キャスター愛の劇場(1)

キャスターの劇場

「大変だわ」
キャスターは、机に散らばった何かの残骸を見て、そう呟いた。
 
 
 
時は聖杯戦争が終わってから、数週間後。
何故か生き残ったキャスターは、一般人として日々を過ごしていた。
(何故かといっても、地脈から魔力を吸い取っている他ないのだが)
 
とりあえずキャスターは自分に与えられた部屋で、日々を得体の知れないフィギュアを作ったり、何故かゴスロリ等の乙女チックな衣装作りで時間を潰していた。(一応、魔術師)
今日も、いつもと同じようにフィギュア作りやゴス……、変なものを作っていたはずなのだが、机の上にあった筈の作りかけのフィギュアは無残にも、バラバラになっていた。
 
「ああああ」
キャスターは残骸を握り締め、わなわなと震えている。
(ああああ、いつもなんで私だけこんな目にあわなければいけないの?今日で完成だった筈なのに、策謀よ、そうだわきっとそう)
 
そのうち、キャスターは何かに憑かれたように、部屋の中をゴロゴロと回っていた。
「セイバーの写真だって、聖杯戦争中は忙しくて撮れなかったし、本人だってもういないのに〜〜!」
 
しまいには、大声で泣き始めた。
 
 
しばらくして
「あ〜あ、誰かセイバーをもう一回召喚してくれないかしら」
泣き疲れたのか、キャスターは溜息をついて散らかした部屋を片付けた。
 
「ん?召喚」
そして、自分が召喚するという至極当然な答えにたどり着くのに数分もかからなかった。
 
 
 
 
時に、衛宮宅。
 
「今日も平和だな」
お茶を飲みながら、家主である衛宮士郎はそう、
 
 
 
現実逃避した。
 
 
 
居間のほうからは、皿の割れる音や、何故か焦げる音と臭い、ついでに虎の雄叫びなんかも聞こえてくる。
「あはははははははは」
それでも、士郎は自分を保つため現実逃避し続けた。
 
どうしてこのような事になったのかというと原因はこうだ。
(以下再現)
 
イリヤ「そういえば桜って、胸が大きいわよね」
桜「そんな事ないですよ」
凛「何、謙遜してんのよ。実際大きいじゃない。いいわよね――(溜息)」
桜「何もよくないです。肩も凝りますし、動き難いんですから。その点では姉さんの方はいいですよね、運動神経もいいですし」
凛「………――――――喧嘩売ってる?(きっと桜を睨む)」
イリヤ「そう考えれば、凛もセイバーも運動神経いいわよね、やっぱりない人って動き易いのかしら?ねぇ、大河(ニヤニヤ)」
大河「むー、イリヤちゃんだって小さいじゃない。私も好きで小さいわけじゃないやーい」
凛・イリヤ「も?(ギッと睨む)」
桜「まあまあ、皆さんそんなにひがまないで。(勝ち誇った顔)」
(静寂)
イリヤ「やる?」
凛「私にたてつこうっての、貴女?」
大河「良くわかんないけど、むかつく。そんな子にはお仕置きだ――――」
桜「相手になりますよ?先輩はたぶん、いえ男の人って言うのは必ず巨乳がすきなんです」
 
イリヤ・大河・凛「「「ガ――――――――(それぞれ背後に、虎・悪魔・白い悪魔)」」」
 
 
それで、現在に至る。
相変わらず、居間からは皿の割れる音や、何故か焦げる音と臭い、ついでに虎の雄叫びなんかが聞こえている。
 
「こんなときにセイバーがいればなぁ、食事中は静かにっ、とか言ってくれたのに」
大きく溜息ついて、がっくりと肩を落とした。
 
 
空を仰ぐ。
 
雲の形がセイバーに見えて、ほろりと目じりから涙がこぼれたのと同時に
きゃゃぁぁああああああああああああ!!!」
上から正体不明の何かが降ってきた。
「ぐはぁ」
見事それは、士郎の頭にヒットし、士郎は一瞬気絶した。
 
 
 
「ちょっと坊や、大丈夫?というか起きなさい」
誰か耳元で叫んでいる。
あまりにうるさいので、軽く押しのけたら
オーキーナーサーイ」
耳がおかしくなるかと思うくらいの声が、士郎の耳元で炸裂した。
「うをぁ!」
変な声を出しながら庭を転がっていく士郎を、頭上から現れた女性、キャスターは踏み止めた。
「目覚めたかしら、坊や」
キャスターは坊や………衛宮士郎を見下ろし呟いた。
キャスターに踏みつけられた士郎は、意識が朦朧としていながらも、現状を理解しようと
思考を降るスロットさせた、が。
 
(無理)
 
士郎は、
いまだ、耳鳴りが収まらないのに重ねて、転がったとき背中を打った痛みとキャスターを頭で受け止めた痛みが重なってグルグルしていた。
 
「士郎!侵入者よ!それも強力な」
「先輩大丈夫ですが?凄い音しましたけど」
 
士郎のことを密かに、いや大胆に想っている二人は我先にと、走ってくる。
「あら」
相変わらず、士郎を踏みつけているキャスターは、走ってくる二人を見て名案を思いついていた。
 
キャスターは、士郎を魔術で立たせるとその後ろに回りこんで、ルールブレイカーを首に突きつけて
「貴女たち、これ以上近づいたら坊やの命はないと思いなさい」
士郎を人質にした。
 
「き、キャスター!?」
(キャスター?ってキャスター!?)
私服で来たのが幸か不幸か、一目では普通の主婦か何かに見える。
しかし、家全体に結界が張っているため見た目はごまかせても、こうして見つかってしまえば魔術に長けた凛かイリヤが気付いてしまうのだ。
「ええ、そうよ。久しぶりね、お嬢さん」
サーヴァントとしての顔を覗かせた、キャスターだったが
「メディアさん?」
凛の後ろにいた桜と目が合ったとき、普通の(?)主婦の顔に戻った。
凛、士郎、そして遅れて現れたイリヤまで驚愕する事実。
そう、キャスターは桜と聖杯戦争中も度々会っていたのである!!(どんだけー
「桜!あんた、こいつの事知ってるの!?」
最初に口を開いたのは凛だ。
「はい、葛木先生の奥さんでメディアさんです。お料理が上手なんですよ?度々献立を教えてもらったりしているんですから」
何を威張っているのか、桜はその胸を自己主張するように、むんと張った。
「いえいえ、私は和風しか出来ないから。それに比べて桜さんは………じゃなかったわ、
とりあえず、黙ってセイバーを呼ぶ触媒を渡しなさい」
危なくそのまま長い立ち話になる所、キャスターは自分を取り戻して、本題を切り出した。
 
しかし、当の本人以外は状況がつかめてなかった。
 
 
「だから、セイバーを呼んだときに使用した、触媒を渡しなさいといっているのよ。殺されたいの、貴方」
キャスターは皆が反応しないため、少しあせっていた。
それに反応したのは、またしても凛だった。
 
「はぁ、分かってないわねキャスター。まぁ知っているわけないか。しょうがないわね、士郎説明してあげて?セイバーを呼んだ時の触媒が今どこにあるのか」
ふっ、と鼻で笑い凛は士郎に話題を振った。
 
触媒というのは、皆さんが知っている通りアヴァロン。聖剣の鞘である。
 
「お、おう。キャスター」
いつの間にか、キャスターのほうに向かい直って、言い放った。
「返した」
 
 
 
(静寂)
 
 
 
キャスターは驚愕で声を失ってしまった。
 
とりあえず、しばらくしたあと。
衛宮家で大きな叫び声が響き渡った。
 
 
 
「つまり貴方は聖杯戦争で勝ち残るために、セイバーの宝具でもあり、触媒でもあった
聖剣の鞘、あ、アヴァロン?を返したって言うの?」
叫び声があがってから、数分後。
キャスターは衛宮家に上がり、お茶をすすっていた。
サーヴァントにあるまじき行為である。(そもそも服等を作っている時点で、おかしいが)
「ああ、そうだ。俺は気付かない内にセイバーに頼りすぎていた。人は傷つけば死ぬんだ。
だから、セイバーに返した」
直ぐ近くに脅威が居るというのに、凛とイリヤはテレビを見ている。
(大河と桜は凛に命じられて、数分前それぞれ自分の家に帰った)
こちらも一マスターとしてあるまじき行為である。
 
 
「そもそも、なんで触媒が必要なわけ?セイバーを呼び出すわけじゃあるまえし」
凛は煎餅をバリバリ噛み砕きながらキャスターを問うた。
 
……………
…………………………
………………………………………
……………………………………………………。
 
ぴしっ、と居間の空気が凍った。
「な」
「は」
「え」
 
それぞれキャスターを凝視する。
当たり前だ、キャスターはセイバーを召喚しようとしているのだから。
「そ、そもそも聖杯の力がないのに、単体でセイバーを召喚できるわけないじゃない。
それに今のあんたは魔力こそあれど、これ以上魔術を使ったらすぐに消えるのよ?
そこまでしてなんであんたはセイバーに拘るわけ?」
「そうだ、それにセイバーはお前なんか従わない!」
「下らないわね。それでも神代の魔術師かしら?」
 
個々それぞれキャスターに罵声の嵐である。
 
それをキャスターは
「神代の魔術師だからこそ、優れた使い魔が欲しいと思うのよ。優れたものは全て自分のものにする。それが私の生き甲斐なんだから」
軽くあしらい、戦闘モードに入った。
「とりあえず、色々諸々の事はほっといて、セイバーに縁のあるものを渡しなさい。さもなければここを爆破するわよ」
 
三人を脅し、殺すといったキャスターに
「別に呼んだ所で何も出来ないでしょうし、はい、呼べても悪用はしないように」
簡単に触媒を渡した凛は、指定の位置に戻ると、バリバリと再び煎餅を食べ始めた。
 
 
「一言余計だけど、ありがとう。それとお嬢さん………―――――――太るわよ?」
 
「うるさ―――い!!!やっぱり殺す!!!」
 
「おほほほほほほほほ」
勝ち誇った嘲笑でキャスターは片手に触媒を持って去っていった。
 
 
 
「というか、こんなであの騎士王を呼べるのかしら」
柳桐寺で魔術呪文を呟きながら、キャスターは今頃になって心配になってきていた。
 
まさに、今頃である。
 
包んで渡された、触媒は―――――――茶碗。
 
 
「騎士王が使っていたというご飯茶碗。伝説ではこの茶碗を抱いて寝ていたとか(嘘)」
とりあえず、凛から聞かされた偽りの伝説を信じて、いざ召喚。
 
 
「貴様が私のマスターか」
 
呼べた。
「そうよ、セイバー。私か貴方のマスター」
(サーヴァントである私が本当にセイバーを呼べるなんて、あの茶碗は一体)
と、内心心底驚いていたキャスターは、セイバーに自らがマスターだと告げた。
 
「そうか、ここに契約は――――――ん?貴様サーヴァント?しかもこの独特の魔力の匂、
忘れない、貴様キャスターだな」
 
ばれた。
 
「何を言っているのセイバー。私は正真正銘貴方のマスターよ?」
文面では伝えづらいが、かなりの焦りっぷりである。
 
「私を舐めているのかキャスター!私のマスターとは認めない。貴様を倒して、真のマスターを見つける。覚悟しろキャスター!!」
一応マスターであるキャスターに剣を向けて対峙するセイバー。
「ま、待ちなさい。私と契約した暁には、なんでも願いを叶えてあげましょう」
一方キャスターは、じりじりと交代している。
「私に願いなどない!前の聖杯戦争で、望みを捨て、これからを生きるとマスターに約束した。私が貴様に膝まづくとすれば士郎が危険なときだけだ」
はっきりと言い放ったセイバーに、キャスターは口の橋をにやりと歪ませた。
「なら、これはどう?少しの期間だけでいい。私に従ってくれれば衛宮士郎に全日本絶品
料理を作らせるよう従わせるわ。それでどうかしらセイ」
「私の剣はあなたと共にある。貴方を私の一時のマスターと認めましょうキャスター」
 
 
そんなこんなで、キャスターとセイバーは一時の間、協力(?)関係になった。
 
 
キャスター愛の劇場  (続く?)
Last updated at :2007/10/23(Tue) 20:23
Publish at :2007/10/20(Sat) 14:20

  • 紅い涙 始
  • 紅い涙 序
  • ホームページ制作、ホームページ作成歯医者SEOインプラントインプラント0000458934000045893400004589340000458934